社会のダイナミズムは色々な要因が作用する結果であるが、
どの社会の現象も自然界同様に「エントロピーの法則」に沿って動く。
共和国の場合、独自の制度とその執行者の利権が結果を深刻にしている。
「2-1 基本的原理」と「現象事例集」とは原因と結果の関係にある。
社会生活編
御尊影
金父子を象った像、写真、画像などがある。画像系は各家庭、職場、学校の各室内に飾られている。
なおこの「飾る」行為のことは「お供え申し上げる」と言わないと不敬罪になる。
金日成の画像を「お供え申し上げる」行為は1950年頃から始まった。 1970年頃からは三つの肖像画を「お供え申し上げる」ようになった。 その内訳は首領様、将軍様、そして「事業討議像」(父子が立ったまま相談している)である。
部屋の一番きれいなところで飾り、その前には「精誠箱」を置き、「
肖像画保衛事業」を欠かせない。

「精誠箱」には赤い絹織物と香水が置いてある。
「保衛事業」とはこの飾り物に埃がつかないように朝夕手入れすることである。 肖像画の検閲班が点検に来て手入れ不届きの節は厳罰に処する。
金一族の成員の銅像が建っている前を通るときは、必ず直立不動の姿勢で最敬礼しなければならない。
素通りした者は不敬罪で現行犯逮捕される。
例えば船が沈没し始めたとき、自分の命より先に金父子の像の安全を確保する義務がある。
将軍様の写真入り横断幕が雨に濡れたまま道路沿いの街路樹にかけられているのをみて 美女応援団が取り外すという事件(2003年8月28日)は単なるパフォーマンスではない。
無償治療 - 病人たらい回し
一般人民の場合
病気にかかればまず「里病院」に行く。治療が困難な場合は上級病院である「郡病院」、次に「道病院」に移送される。 病気から回復したい場合は、必要な薬の代金を払う必要がある。そうしないといつまでもまじめに治療してもらえない。
上級病院に回されるうちに病状が悪化し、道病院に来るころには回復不能の重病人になることが多い。
高級幹部の場合
一般人民とは異なり文字通りの無償治療が行われる。 党の幹部とその家族は「革命の指導成員」として「幹部治療券」という治療特権をもつ。 高級病院に直接行き、丁重な処置を受けることができる。
大学病院には幹部専用の「特別一科」、「特別二科」が設置されて一般人とは分離される。 医師は一般患者用の薬品のうちよいものは取っておき、幹部に対し特別対応するときに使われる。
この対応は「幹部事業」と呼ばれ、医師たちの世渡りの知恵となっている。
また、「
軽症の幹部を拒絶せず、重症の幹部を拒絶せよ」が医師たちの不文律となっている。 治療を行って結果が悪かった場合、自分の過失がなかったことを証明するために苦労することになるからだ。
賛歌合唱
朝鮮総連/朝鮮人学校では集会/入学式等始まりのとき、
まず「金日成将軍の歌」、続いて金正日を称える「親愛なる指導者同志の歌」。
終わりのとき、まず「
金日成元帥様の万年長寿を祝願いたします」、
続いて「
親愛なる指導者同志の万年長寿を祝願いたします」。
託児所 - えさで調教
夫婦共働きが普通であり、日中幼児は託児所に預けられる。 幼児たちは食事のたびに
「
わたくしたちのお父さん、金日成元帥さま、食事ありがとうございます。」
と言わなければならない。言わない子供には食事が与えられない。
缶詰隊列
シベリア伐採作業員の別称。1970年代から伐採作業員を出稼ぎさせる制度が始まった。 任期3年の厳しい作業であるが、帰国後はある程度裕福になれるので人気職業である。
過酷な伐採作業の途中で病気や事故で死亡する者も多いが、その場合
遺体から首が切り離され、 首だけが鉄の箱に入れられて家族に返されることから缶詰隊列の呼称が生じた。