一本化という弱点
事実ベースで認識を再構築するのは既定路線を解体すること。
歴史に接する態度
中国語版『ローマ人の物語』出版記念公演での質疑応答場面。
固有の認識を持った人々の質問に対して歴史の大家はどう答えるのか。
* 塩野七生『逆襲される文明』を元に編集。
反論不能な回答
「歴史認識については日を変え人を変えて何度となく質問された。
こういう問題には私でも真正面から答える。即ち、」
事実に対する認識
「歴史事実は一つでも、その事実に対する認識は複数あって当然で、
歴史認識までが一本化されようものならその方が歴史に接する態度としては誤りであり、
しかも危険である、と答えたのだった。」
譲れない一線
「譲れない一線は誰であろうと譲らない、いや譲ってはかえって、
相手の知性を軽視することになると私は思っている。」 いやあ、脱帽ですね。
一本化は思考の節約
複数の歴史認識を容認するかどうかはその文化の成熟度を測る指標です。
1本化とはゴールポストを決めてしまうこと。維持費が要らないがそれ以上進展しない。
「歴史修正主義」
歴史の解釈を見直すことは思考の節約原理に反する。
歴史認識が一本化されると論理矛盾が生じた時に事実よりも予定調和に基づいて事象が展開します。
事実に基づいて事を運ぶことは既定路線を一旦解体するために余分なエネルギーを要します。
それに抵抗する際に有効な用語が「歴史修正主義」。これは「ヘイト」同様に思考停止を呼びます。